2009年1月16日金曜日

1938年 南京 1月16日

「南京事件」(笠原著:岩波新書)より
1月16日・・・近衛首相、「帝国政府は爾後国民政府を対手とせず」との声明を発表。

「南京の真実」(ラーベ著:講談社)より
1月16日
 日本大使館での晩餐会はいともなごやかな雰囲気のうちに過ぎていった。出席者は全部で13人。日本大使館の人たちの他、委員会から9人。ヴォートリン、バウアー、ベイツ、ミルズ、スマイス、トリマー、クレーガー、それから私。マギーは食事が始まってからやってきた。遅刻癖はあるが、それを除けば愛すべき仲間だ。・・・・・・
 私はテーブルスピーチを頼まれていたので、あらかじめ原稿を用意しておいた。


 ご臨席の皆様!
 本日温かいお招きに対し、南京安全区国際委員会を代表しまして、日本大使館の皆様に心から感謝の意を表明します。誓って申しますが、私たちはもう長いこと、このような素晴らしい晩餐にあずかっておりません。
 お招きくださった方々に、私たちのことを少しばかりお話させていただこうと思います。
 委員会のメンバーの多くは、当地南京で宣教師として活動しておりました。彼らは中国人の友人を見捨てないことが、キリスト者としての義務だと考えております。一会社員である私が加わることにしましたのは、この地で30年を過ごしたからであります。長の歳月、この国、この国民から手厚いもてなしを受けてきた私は、その不幸な時期に彼らを見殺しにしてはならないと思ったのです。
 私たち外国人がここにとどまり、難民を、逃げようにも資金がなく、行く当てもない、この国で最も貧しい人々を救おうとしたのはそのような理由によるものです。
 私たちが自ら引き受けた苦労や災難については申し上げません。皆様が良くご存知だからです。

 私たちは日本の方々の高貴な感情、サムライの精神に訴えたい。・・・・・・・
サムライは数々の戦で非常に勇敢にお国のために戦いながらも、もはや身を守る力のない敵に対しては、「武士の情け」を示した、つまり寛容だったと聞き及んでいます。
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 ・・・・・・・・・・・・・国際委員会を代表しまして、ここに深く感謝の意を表します。

 アメリカ人たちがこれをどう思ったかはわからない。心にもないことを言ったことぐらい、百も承知だ。だが、そうしておいたほうが得策だと思ったのだ。「嘘も方便」と言うではないか。 
 とにかく、たとえわずかでも日本大使館の役人が助けてくれたことは確かなのだ。我々の被害報告を軍部に渡してくれ、ほんの少しとはいえ、とりなしてもくれた。つまり我々に力を貸すことのできた唯一の人たちであることにかわりはない。成果がなかったのは、日本の外交官は軍部に従わなければならないからだ。今日、日本政府を牛耳っているのは軍部なのだから。それを考えれば、大使館の人々、福井、田中、福田の3氏は、それなりによくやってくれたと言うことができるのかもしれない。けれどもこれだけ辛酸をなめたいまとなっては、とてもそんな気持ちにはなれなくなった。

 帰る少し前、福田氏は、「ローゼン氏事件」で大使館側が頭を痛めているとほのめかした。
「なんらかの歩み寄りの姿勢をみせるよう、ローゼン氏を説得していただけないでしょうか。日本大使館に立ち寄って、二言三言愛想の良い言葉を(謝罪の言葉を、とは言わなかった)かけるとか・・・・)

 ともかくあたってみよう。だが、あの人のことだ、頭から受け付けないような気がする。



「南京事件の日々」(ヴォートリン著:大月書店)より
1月16日 日曜日
 神の御恵みで今日もまた小春日和だ。今にも降りそうだった雪は、気が変わって降るのをやめたようだ。いつものように今日も早朝から、都市や鉄道を破壊する仕事に出かけていくたくさんの飛行機の爆音が聞こえた。せっせと衣類を洗濯して、木という木に片っ端から吊るす女性あり、粥をもらいに粥場に向かう女性あり、夜間はキャンパスに戻ってくるが、昼間だけ帰宅する女性ありで、ここのところキャンパスはすこぶる慌ただしい。キャンパスに通じる大通りはいつも混雑しているようだ。これまでどおり男性のキャンパス立入りを断っているが、彼らは、私たちが彼らの妻や子どもたちを護るために精一杯努力していることを知っているので、そうした制限を道理あることとして受け入れてくれる。そして、そのことをどれほど嬉しく思っているかを感謝の言葉で示してくれる。あい変らず毎日火災が発生しているが、その件数は以前ほど多くはない。・・・・・・・


・・・・・・・・・・


 新しい支配者たちが、帰宅を促す大きなポスターを安全区の外に貼り出した。日本兵が2人、農民、母親、それに子どもたちが描かれている。兵士はとても友好的で親切そうに描かれ、また、中国人たちが彼らの恩人に心から感謝している様子が描かれている。書かれた言葉は、人々が自宅に戻った場合、万事がうまくいくだろうということを暗に伝えている。たしかに、城内の緊張はゆるんできているし、女性たち、とくに年齢の高い女性たちは試しに帰宅している。初めは昼間だけ帰宅してみて、何事も起こらなければ、そのまま自宅で暮らしている。若い人たちはいまも大変おびえている。


「Imagine 9」解説【合同出版】より

 

おたがいに戦争しないと



約束した世界



 地球規模では、世界各国では軍隊を減らす一方、国連に「緊急平和部隊」をつくり、紛争や人権侵害を防止しようという提案がなされています。また、イタリア憲法11条は、日本国憲法9条と同様に「戦争の放棄」をうたっていますが、そこには「国どうしの平和的関係のためには、国の主権が制限される場合もある」と定められています。つまり、国際的なルールや制度によって平和を保つ事が重要であり、「自国を守るため」といって勝手な行動をとることは許されないということです。
 グローバル化の時代、人々は国境を越えて行き来し、経済や社会はつながりあっています。安全を自国の軍事力で守ろうとすることよりも、国どうしで約束をつくり、国際的に平和のシステムをつくることの方が、現実的に必要とされてきているのです。


第九条【戦争放棄、軍備及び交戦権の否認】

1 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。



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