2009年2月23日月曜日

1938年 南京 2月23日

「南京の真実」(ラーベ著:講談社)より
2月23日
 アメリカ人の仲間が、そろって別れを告げにきた。シュペアリング、韓、それから発電所の中国人が幾人か、汪氏と私を下関まで送ってきてくれた。9時きっかりにジェフリーとウィリアムズの両人がやってきた。2人の力添えで、イギリス砲艦ビーのランチにすんなり乗せてもらえた。2マイルほど上流に停泊しているビー号で、アームストロング海軍少佐とブレイン=ニコルズ一等航海士が感じよく迎えてくれた。ランチを操縦してくれたのは若い将校ピアソン海軍中尉だ。4人目の乗り組み士官はジョイント陸軍軍医中佐。お医者さんが一緒とは願ってもない。風が抜け切っていないので、今ひとつ気分がすぐれないのだ。
 出発直前に、ベイツが、記者会見用のレジュメを持ってきてくれた。どこまでしゃべっていいものか、よく考えなければ。委員会が窮地に立たされるようなことだけは避けたい。

 ビー号の艦内にて
 ビー号は、朝9時に錨を上げた。午後には鎮江を通る。揚子江の夜間航行は禁止されているので、口岸で停泊する。船旅は快適だ。船室、食事、サービス、どれも申し分ない。どうやら中国人の使用人の間で、汪のことがうわさになっているらしい。使用人でないのは一目瞭然だからだ。しかし、我々は沈黙を守った。ビー号の将校たちは、コンパドーレ(中国人実業家)ではないかと思っている。体の具合は少し良くなってきた。
     
「南京事件の日々」(ヴォートリン著:大月書店)より
2月23日 水曜日
 今朝ラーベ氏が出発した。彼は使用人1人を同伴した。私の知る限りでは、この男が、南京から出ることを許された3人目の中国人だ。
 午後、ある母親が3人の女の子を連れてきて、彼女たちを収容してほしいと懇願した。1人は、12月初旬に農村地域へ行った彼女の娘で、他の2人は農村からきた女の子だった。彼女たちは、農村地域では恐ろしい思いをした、と言っている。女の子は、地面に掘った穴に覆いをかけて隠れなければならなかった。兵士たちは地面を踏んで、地中に空洞があるかどうかを確かめることによって、こうした隠れ場所を見つけようとした。彼女たちの話では、12月12日以来毎日、ほとんどの時間をこうした穴で過ごしたそうだ。
 午後5時から6時までフランシス陳と一緒に漢口路・虎踞関路・広東路(正しくは広州路)経由でキャンパスを巡回した。私たちは、夜を過ごすために安全区へ戻って行く何人かの高齢の男性に出会った。彼らの話では、昼間は金銭の窃盗が続いているそうだ。同じ運命に私たちが遭わないように、陳さんのお金を私のポケットに入れた。虎踞関路では、夜間そこで生活している4人の老人を見かけただけだった。たいていの家は周りには今も板が打ちつけられていた。実際、そこは寂れて消沈した感じだ。若い人はただの1人も見かけないし、正常な活動は何も行われていない。
 朝9時、金陵大学と金陵女子学院の間の街路から2人の少女が走ってきて言うには、兵士が彼女たちの家に入り込んでいるので、逃げてきた、というのだ。ルイスがたまたま車でキャンパスに来ていたので、2人でその家へ行った。兵士たちはすでに立ち去っていたが、彼らの1人は貧しい男から7ドルを奪って立ち去った。
 飛行機が私たちの頭上をあい変らず北西へ飛んで行く。
 キャンパスでは引き続き今も植樹と掃除が行われている。裏手の小山に大きな壕を掘ったが、図書館の北側の小山にも今から壕を掘るところだ。
 程先生、フランシス陳、それに私とで、建物の被害額のほか金陵女子文理学院が必要とする避難民対策費を見積もるつもりだ。被害額は優に2000ドルを超えるものと思う。多くの点で私たちの収容所は運が良かった。ここには主に女性と子どもしか収容していなかったし、また、各自がそれぞれの部屋で炊事をしなくてもよかったのだから。

 「Imagine9」【合同出版】より



おたがいに戦争しないと


約束した世界



地球規模では、世界各国では軍隊を減らす一方、国連に「緊急平和部隊」をつくり、紛争や人権侵害を防止しようという提案がなされています。また、イタリア憲法11条は、日本国憲法9条と同様に「戦争の放棄」をうたっていますが、そこには「国どうしの平和的関係のためには、国の主権が制限される場合もある」と定められています。つまり、国際的なルールや制度によって平和を保つ事が重要であり、「自国を守るため」といって勝手な行動をとることは許されないということです。
 グローバル化の時代、人々は国境を越えて行き来し、経済や社会はつながりあっています。安全を自国の軍事力で守ろうとすることよりも、国どうしで約束をつくり、国際的に平和のシステムをつくることの方が、現実的に必要とされてきているのです。



第九条【戦争放棄、軍備及び交戦権の否認】

1 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。


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